本日のヤフーニュースに注目したい記事があったので、それを取り上げたいと思います。
ジョニー・デップが制作と主演を兼ねている映画「MINAMATA-ミナマタ-」なのですが、日本公開を9月23日に控えています。そして、映画の上映会後援を巡り水俣市が拒否したとの記事がありました。
朝日新聞が伝えた記事だったので言葉が足りないところが多く、実際は、上映会の後援を熊本県は許可したが当事者である水俣市は市民の心情を考慮して後援するのを躊躇ったという内容でした。水俣市の関係者によると、上映会自体を拒否したわけではないそうです。
映画は、日本四大公害のひとつ水俣病を取り扱った作品で地元の人達にもその後遺症に悩まされたり補償問題がいまだに続いています。その事もあり水俣市が慎重になり後援するのを躊躇ったのも仕方がない事だと思います。
水俣病の映画「MINAMATA-ミナマタ-」について
映画「MINAMATA-ミナマタ-」は、水俣病という公害を世界的に知らしめたとされるアメリカ人の写真家ユージン・スミスが奥さんだったハーフの女性アイリーン・美緒子・スミスと一緒に制作した「MINAMATA」がベースとなっている作品になります。
ジョニー・デップは、ユージン・スミスに憧れており彼を演じる、そして彼の作品を扱うということで映画「MINAMATA-ミナマタ-」がつくられました。
映画には、ジョニー・デップ以外に真田広之、國村隼、浅野忠信、加瀬亮、岩瀬晶子などが出演しています。ジョニー・デップ渾身の作品で評価も高いそうなので日本公開になったらわたし自身も観に行きたいと思ってる作品の一つです。
実際に水俣病の患者さんの映像も使用されているそうなのでリアルなドキュメンタリー映画に仕上がっているのではないかと期待しています。
ユージン・スミスと写真集「MINAMATA」
ユージン・スミスは、もともと戦争写真家でしたが、現地で負傷したあと次第に日常生活をテーマに人間の表情などを撮る写真家になっていきました。51才のとき、後に奥さんとなるアイリーンと知り合います。彼女が通訳を務めたようですね。この時、アイリーンはまだ20才でした。
二人は1年後に結婚して水俣市に移り住みます。そこで水俣病に苦しむ患者たちを目のあたりにして写真集を出版することになります。
ユージン・スミスとアイリーンはその写真集を出版したあとにすぐに離婚したようなので、結婚生活は5年にも満たなかったようです。さらにユージン・スミスは享年59才という若さで亡くなっています。
晩年は、水俣病の原告であったチッソ社員による暴行で脊椎損傷と片目失明に悩まされたようです。そのような事があっても容疑者や日本人を恨むことがなかったそうです。
ちなみに暴行は、写真集の出版とは全く関係ありません。写真集の出版はニューヨークに帰国した後なので・・・。
ユージン・スミスへの暴行があったのは、千葉県のチッソ五井工場を訪問した際の出来事です。水俣病患者たちと一緒に新聞記者と交渉団体約20名が、チッソの社員約200人による強制排除に遭いました。そのときにユージン・スミスも酷い暴力を受けたようです。
写真集「MINAMATA」の中で評価が高い1枚は、水俣病の少女が母親に抱かれて入浴している作品です。「入浴する智子と母」というタイトルの写真になります。
離婚したアイリーンは、その後別の男性と結婚して子供が誕生しています。現在、71才となったアイリーンは写真集の著作権を管理する組織を設立してユージン・スミスの遺した作品を広める活動をしていたりしていますね。
今後、映画が公開されることにより水俣病という公害がもっと世間に認知されればいいなぁと思います。そして、その一方で偏見や風評被害などが出ないようにと願います。