時事ニュースで目にしたカネミ油症事件について取り上げたいと思います。

カネミ油症事件と言うのは、1968年に発生した国内最大の食品公害を指します。原因となった食用カネミ油を食べた妊婦さんから黒い赤ちゃんが産まれたりして当時、社会的に大きな衝撃を与えました。

私はまだ生まれていなかったこともありカネミ油症事件の事をはじめて知りました。事件発生から50年以上経過してもこの被害に悩まされている方は多くいるようです。

そして、やっとここにきてカネミ油症患者の子供や孫への調査がスタートするそうです。今後、幅広く被害者の救済が行われる事を願います。


カネミ油症事件について

1968年(昭和43年)に起きたカネミ油症事件について詳細をまとめてみました。

1968年10月、福岡県北九州市にあるカネミ倉庫が製造・販売していた食用米ぬか油(カネミライスオイル)を食べた人達が次々と健康被害を訴えました。

そして、その数は日増しに増えていき約1年間で14,000名の被害届があったそうです。

ただ、国内最大と呼ばれた食品公害ではあったが、現在までの認定患者数は2,329名とかなり少ない人数になっています。同じ被害にあった家族の中でも認定は一人だけだったり子供や孫は認定されなかったりと課題を残したようですね。

一応、2012年に被害者救済法が成立しましたが、大半の被害者は亡くなっているそうですし・・・。

カネミ油症の原因

カネミ油症が発生した原因は、カネミ倉庫のカネミライスオイル製造の段階での話になります。

カネミライスオイルは、米ぬかを使っていますが、この米ぬかはご存じの通り独特な臭みがあるのが特徴です。なので、食用油として売り出すにはこの米ぬかのニオイを消す事が不可欠になります。

脱臭工程を行っているときに熱媒体としてポリ塩化ビフェニル(PCB)を使用していましたが、これが配管部から漏れて油に混入、さらに加熱したことによりポリ塩化ジベンゾフラン(ダイオキシンの一種!!!)に変化してしまいました。

ちなみにポリ塩化ビフェニルは鐘淵化学工業(現在のカネカ)製のものです。

裁判では、被害者団体はカネミ倉庫・鐘淵化学工業・国を訴えましたが、個人的にはカネミ倉庫の責任が重大であると感じます。

カネミ油症の症状

カネミ油症事件の被害者が訴えた健康被害は、皮膚疾患から内臓系の疾患、神経の疾患など多種多様な症状がありました。

皮膚疾患は、吹き出物や顔面の色素沈着や塩素挫瘡(クロロアクネ)など。内臓疾患は、肝機能障害が多いです。そして、神経疾患は、手足のしびれやめまいや倦怠感などが代表的な症状となります。

カネミ油症は、いますぐ死に至るという重症なものではないですが、長く後遺症に悩まされるケースが多いです。

カネミ油症の黒い赤ちゃん

カネミ油症事件が、大きく取り上げられて世界的に有名になったのが黒い赤ちゃんの存在です。

カネミ油症の被害者の中には、妊娠していた女性もいました。その女性が産んだ胎児が全身真っ黒で「黒い赤ちゃん」「コーラベビー」、国際的な学会でも「YUSHO」と呼ばれました。

その赤ちゃんは生後2週間ほどで亡くなったそうです。